「坂口先生、コンピューター室行くなら二階だから下りないと」

「ああ、そっか。騒ぎで上がりすぎちゃったね。

ハル兄も二階の校長室だろ?」

「……ああ」


無理矢理切り変えたような市川の態度が気になりつつも、瞬の手前、素直に頷いて二階に下りる。

そのまま中校舎の廊下を歩く俺の後ろで、市川と瞬は渡り廊下を渡って北校舎へと歩いていった。


一度振り返っても、市川が振り返る事はなくて。

市川の凛とした後ろ姿をしばらく見つめていた。



隠そうとしてる漆黒の感情が、俺の中でうごめく。


ため息では逃がしきれない、鉛みたいに重い感情。

じょじょに身体の中に蓄積されていくそれは、俺を中から蝕んでいくようで。



気持ちが悪くて仕方ない。