それにしても――と、凛花は思う。

 今まで恋人だった男性は、個性的過ぎるというか何というか……。
 そんな凛花が、結婚してもいいかなと思う男性に出逢うことになる。

 高校時代からサーフィンが趣味の凛花は、仲間と数人で週末はサーフィンに出かけていた。その中にいる一人で、口数は少ないけれど、誰に対しても優しい男性がいる。

 名前は慎一郎。彼は背も高く、切れ長の目が印象的な人物。性格は穏やか、思いやりもある。慎一郎とはずっと友人関係が続いており、恋愛対象として考えたことはなかったのだけれど、突然意識するようになった出来事が起きた。

 いつものように数人でサーフィンに出かけた際、海で波待ちをしていた凛花は、急に足がつってしまい、溺れかかってしまった。その時、近くで同じように波待ちをしていた慎一郎が、誰よりも早く駆けつけ、浜辺まで連れて行ってくれたのだ。


「ありがとう。急に足がつっちゃって」


 そんな凛花に、慎一郎は無言で微笑む。その笑顔がとても綺麗で、凛花の脳裏に深く焼きついた。