3年前、陽日は精神的に追い詰められていた。

そこで生み出されたのが、月夜という人格。

カリスマ性があり、何でも上手くこなせる彼を、陽日は自分の中から生み出してしまった。

ところが主人格である陽日の手を離れつつあった月夜。

暴走の代償として、月夜は陽日の中で深い眠りにつかされた。

「なるほど。彼の3年前の状況を考えれば、簡単なことだったね」

遊間は笑いながら立ち上がった。

「ねぇ、会いたかった…! 俺はずっとキミに会いたかったんだ!」

夢見心地の表情で近付いてくる遊間を、月夜は冷めた眼差しで見ている。

「あんなつまらない人格に、キミは囚われるべきじゃない」

「つまらない?」