ゲイな彼と札束


そう思いたきゃそう思っていればいいけどさ。

あたしにとっちゃクソ野郎に変わりない。

それにしても、ジョージめ。

幻滅した。

結構好きだったんだけどな。

今はもう、世界一キライな俳優だ。

「さてと。俺もシャワー浴びようかな」

マモルは温くなったコーヒーを飲み干して浴室へと去っていった。

あたしはテレビを見ながら、ジョージと同じタイミングでタバコに火をつける。

白地に赤丸の箱を指に挟み、眉間を狭めながらジッポの厚みのある火で、小気味良い音を立てるジョージ。

カッコイイ。

さすがは俳優。

眉と気の抜けた顔で100円ライターの小さな火を貪ったあたしが貧相に思える。

無性に敗北感を覚えた。

悔しくて憎たらしくて、あたしはタバコを吸い終わるなりテレビを消し、ジョージとマモルのベッドで大の字になる。

このベッドを、あたしのにおいに染めてやる。