同じベッドで眠っているのに、マモルは指一本触れてこない。

無駄にキングサイズのベッドでは特に離れなくても距離は取れるし、夏だから上にかぶるのは各々別のタオルケット。

これ、どっちかっつーと雑魚寝だろ。

一人で住むつもりだったくせに、何でこんなバカデカいベッドを買ったのだろう。

高田真之介が戻ってくるような気がしたからか?

それとも、わざわざ作った『彼女』と離れて眠るためか?

眠れずにそんなことを考えていると、右で眠っているマモルがモソモソ動き始めた。

何か夢を見ているのだろう。

ごろんとこちらを向いたマモルは眉間にしわを寄せている。

乱れたタオルケットをかけ直してやると、また何か微妙な呂律で声を発した。

「シンさん……」

……蹴り落としてやろうか、この野郎。