ゲイな彼と札束


マモルが途切れてしまった部分にそっと触れた。

指がやけに温かい。

自分が冷えたのだろうか。

「カッコイイ絵なのに、残念だね」

「うん。まあ、直そうと思えば直せるんだけどさ」

あたしはタオルを締め直してカップのコーヒーを空ける。

そして寝室に戻り、いつも借りているマモルの部屋着に着替えた。

着替えながら気が付いたが、肩も鈍く痛む。

倒れたときに強く打ったらしい。

涼しいリビングに戻ると、マモルはキッチンでカップを洗ってくれていた。

マモルは男のくせに、あたしよりずっと家事がうまい。

そして案外世話好きだ。

あたしがどうこうする前にチャカチャカ終わらせてしまうので、すっかり甘えてしまっている。

特にすることもないので、ソファーに座ってテレビを眺める。

大画面のテレビには昨年流行ったドラマの再放送。

今まさに、ヒロインが相手役の男にビンタをかましたところだった。

タケシのビンタを思い出し、ビリッと左頬が疼く。

「ねぇ、サエ」

洗い物を終えたマモルが隣に座る。

「んー?」

今日は色々あって疲れてしまった。

半ばうとうとしながら返事をすると、何かをポンと手渡された。

「これ」

手には赤い携帯電話が乗っている。