ゲイな彼と札束


初めこそ怖いと言っていたが、マモルはすぐにこの環境に順応した。

堂々とショップへ入り、

「俺、こっちの色のほうが好き」

などと自分の好みすら言ってくる。

「……じゃあこっちにする」

あたしも素直にそれを受け入れるもんだから、ますます付き合っているような気になってきた。

「お会計15,800円になります」

「はい」

マモルはさりげなく自分の財布で払ってくれる。

あたしのバッグはファスナーが締まったまま開かれない。

「こちら商品です。ありがとうございました」

「どうもー」

さらにマモルは、店員が差し出した荷物を当然のように持つ。

本当に女役で男と付き合っていたんだろうかというほど、マモルは紳士的で彼氏らしい。

「本当にゲイ?」

「まだ疑ってんの?」

「なんか、いい彼氏っぽい」

「そうでしょ? これでも一応、女の子にはモテるんだよ」

そりゃそうだろう。

そのルックスと性格ならモテないわけがない。

「残念だったな。男じゃなくて」

「ははは、女の子でも嬉しいけどね」

「あっそ」

一通り買い物をすると、合計で8万くらい使った気がする。

だけど結局、バッグの札束を解くことはなかった。