ゲイな彼と札束


ビビって何になる。

男専門のこいつがあたしに欲情しないだけのこと。

ただのお友達として、傷が癒えるまで話し相手になってあげればいい。

それ以上は求められていないのだ。

そのうえ300万円までついてくる。

危ない裏もなさそうだ。

でも、その前に。

あたしはマモルの顔をじっと覗いてみた。

少し胸元の開いたTシャツから谷間を見せる角度をキメて、軽く体を寄せる。

大概の男ならここで勘違いする。

「どうしたの? 傷が痛む?」

「違う」

首を横に振って距離を縮める。

「あ、お腹空いた? 飯、何食べようか」

「マモル、ほんとに女には興味ないの?」

「まあ、恋愛的な意味では」

「あんたがしたいなら、ヤッたっていいんだよ、あたし」

物欲しげな顔で詰め寄り、マモルの首に両腕をかける。

自分からけしかけておいて、あたしがドキドキしてきた。

キレイな肌だなぁ。

鎖骨の形もいい。

それに、なんだか優しい香りがする。