ゲイな彼と札束


マモルをじっくり見てみる。

きっと年はあたしとあんまり変わらない。

サラサラの黒髪、色白な肌、垂れ気味の細い目に赤みがかった唇。

女にウケそうな顔をしているのに。

「信じられないって顔してるね」

「信じられないっつーか、そういう人種がマジでいるのかと思って」

「結構いるんだよ。男女両方いけちゃう人とか。俺は男専門だけど」

「専門……」

想像してみた。

マモルが男といちゃついている場面を。

慣れないせいか、自分が性的にはノーマルだからか、頭に浮かんだ絵面が刺激的すぎて寒気が走った。

「エアコン効きすぎ? 温度上げるね」

両腕をさすったのをエアコンのせいだと勘違いしたマモルは、爽やかな顔をしてリモコンを操作する。

マイノリティへの抵抗はあるが、マモルへの興味は俄然湧いてくる。

ますますこいつがわからない。