ゲイな彼と札束


ふーん、と小さく漏らしてからクスッと笑う。

「全然冴えてる感じはしないけどね」

ふん、よく言われるよ。

自分の頭が悪いことはわかってる。

「うるせーな。お前はどうなんだよ」

「護衛の護でマモルだよ」

「何だよ、お前だって何も護れそうにないじゃんか」

「はは、よく言われる」

「そんなんだから女に振られんだぞ」

ガシガシタバコを灰皿に押しつけると、続いてマモルも火を消した。

哀愁を帯びた自嘲の笑み。

空になったカップをテーブルに置いて、マモルは小さく、でもはっきりと告げた。

「違うんだ」

「あ?」

「女じゃないんだ」

言ってる意味がわからなかった。

それを顔に出していると、マモルは困ったように笑って解説する。

「男に振られたんだ」

「は?」

「だから、わかりやすく言えば……俺、ゲイなの」

「ゲ……、ちょ、それって。要は、ホモってこと?」

「そういうこと」