ゲイな彼と札束


京急に乗って品川で乗り換え、いったん新宿で下車。

東口に出ると、すでに辺りは薄暗くなっていた。

「懐かしいね」

「は?」

「あの電機屋」

マモルが指差す先に、あたしたちが出会った電機屋がある。

あの日は行き交う人々がみんな自分の敵のような気がしていた。

今では他人の笑顔が微笑ましく感じられる。

「マモル、すげー不幸そうな顔してた」

「サエだって。体は傷だらけだし、ヒザからだらだら血を出してたし」

マモルが血を拭った感覚を思い出し、ぼわっと鳥肌が立った。

あの日の傷は治っているけれど、今でも傷跡が残っている。

「そういえば俺、絆創膏あげたよね」

「ああ、傷より小さくて結局貼れなかったけど」

「そうなの?」

「そうだよ」

人の流れに乗って歩き、歌舞伎町へ。

あたしを追いかけてきたマモルから絆創膏を受け取った横断歩道。

赤信号で立ち止まると、マモルは向こう側の信号を見ながら呟いた。

「サエ、キレイになったね」