東京へ向かう飛行機からは富士山がキレイに見えたらしいが、爆睡していたあたしは見ることができなかった。
寝ぼけ眼で飛行機を降り、到着ロビーの自動ドアを抜けると、預け荷物受取所を一生懸命覗いている優男が目についた。
例によってCOACHのバッグのみを持って搭乗していたあたしは、ヒールの音を響かせないように歩き、その背後に忍び寄る。
「わっ!」
「うわあぁぁ!」
少しだけ驚かすつもりだったのに、予想以上に大きく肩を震わせたマモルは、到着ロビーに声を響かせた。
「もう、驚かさないでよー」
笑うあたしに安堵の息を漏らしている。
頼りないやつめ。
「バーカ。荷物は預けないってメールしたのに」
「でも出口はここでしょ?」
「預けてない人は別ルートなんだよ」
「そっか」
マモルは優しい笑みを見せてあたしの手を取った。
「帰ろ」



