ゲイな彼と札束


人を傷つけたとき、あたしだってやられてるんだから、自分がやるのも当然だと思った。

盗みをはたらいたときは、自分はこんなに辛い思いをしてるんだから、多く持っている者からもらったっていいだろうと思った。

「だから、今まで受けてきた痛みは、全部報いだと思う」

「……そうかもな」

ヒロキはタバコに火をつけ、目を細めて煙を吐いた。

報いは受けた。

だからこの土地を去る前に、しっかり反省をしておきたい。

あたしは反省と感謝をしにやってきたのだ。

この川に流され死にかけた。

でも川はあたしを殺さなかった。

マモルと再会できたのも、川があたしを生かしてくれたおかげだ。

死んでしまっていたら、傷だらけの人生で終わっていた。

あたしは救われたんだ。

残りの60年を共に生きると、好きな男と約束した。

あたしはこれからきっと幸せになる。

そうでないと、生きてる意味がない。

ありがとう。

さようなら。

あたしは遠くの街へ行きます。

好きな人のために、これからは真面目に生きていきますーー。