ゲイな彼と札束


真面目そうな優男なんて、興味も縁もなかったのに。

人生何が起こるかわからない。

「変わったっていうか、あたしの場合、あいつが変えてくれたんよ」

体を売って金を稼ぎ、男の部屋に入り浸っては殴られて飛び出していたあたし。

性病をうつされること13回。

妊娠すること2回。

そんな心身傷だらけのあたしに、マモルは無償の優しさをくれた。

生きる屍のようだったあたしに、命を吹き込んでくれたのだ。

「はいはい。ノロケキモい」

「これからもっと変わるかも。次に会うときには清楚系森ガールになっちょったりしてな」

「は? 森ガール? ミニスカートの時代にロンタイ履いてたお前がか?」

あたしは笑うヒロキに再び蹴りを入れ、マモルへの返信メールを打つ。

足もすっかり回復した。

東京から地元に戻って以降、手続きにバタバタしながら、水子供養とブライダルチェックをした。

水子供養ではこの世の終わりのように涙が出たけれど、やってよかったと思う。

そしてブライダルチェックだが、あたしはちゃんと子供を産める体であることがわかった。

今度こそ、授かったときには産もう。

結果をもらったとき、そう決心してまた泣いた。

いつか来るその日のために、二十歳を前にして、あたしは禁煙している。