ゲイな彼と札束


マモルはそっとあたしの手を握った。

もうその程度でドキドキしたりはしないけど、この手にどんな意味があるのかがわからなくて不安になる。

「ごめんね、サエ」

「どういう意味?」

「俺はたぶん、サエに恋をすることはないと思う」

ああ、フラれた。

結構本格的に、今後も可能性はないという表現で。

せっかく引っ込めた涙が再び目に溜まり、堪えるために力むと目頭だけでなく肋骨も痛い。

彼女って何だよ。

所詮肩書きだけじゃんか。

地元まで駆け付けてくれたのは、一体何だったんだ。

あたしのこと、どう思ってんだよホモ野郎。

「俺ね、サエのことが大好きなんだ」

「……は?」

バカか。矛盾してるだろ。

「サエが出ていったとき、初めはサエの意思だから仕方ないと思った。俺はゲイだからサエの気持ちには応えられないし」

「ちょっと待て。話の意味が全然わからん」

「まあ聞いて。サエがいないと、どうしようもなく寂しくて。街を歩いて探しても見つからないし、警察に相談しても家出じゃ捜索はできないって言われるし」

「警察にまで行ったのかよ」

「うん。でも断られて、途方に暮れちゃって。ニュースを見た時は、驚いたけど、希望の光が見えた気がした」