ゲイな彼と札束


マモルのシャツに涙を吸わせたあたしは、ゆっくりマモルの腕を解いた。

マモルの表情は穏やかで、決して無理をしているようには見えない。

「俺以外との恋愛……か」

ジョージはテレビで見たことのない複雑な表情を浮かべている。

「俺にだって、彼女はいるんだよ」

そう言ってあたしに目配せをして、「ね」と微笑む。

「マモル。お前は俺と違って女じゃ……」

「そうだよ。残念ながら俺はゲイ。おそらく男にしか恋はできない」

はっきり口に出して言われると、やっぱりヘコむ。

女のあたしでは、マモルと本物の恋人同士にはなれない。

じゃあ、あたしは一体何なのだ。

彼女だなんて、結局肩書きだけってことじゃんか。

地元に駆け付けてくれたことで、あたしの気持ちは報われたかもしれないと、ちょっとだけ期待してしまった。

バカだな、あたしは。

夏と同じ過ちを繰り返すところだった。

「まさか、サエちゃんが男だなんてこと……」

ジョージが真剣な顔をして言う。

「ねーよ! あたしは女だ! バカじゃねーの」

叫ぶように答えたあたしに、ジョージはホッとする。

その“ホッ”が、あたしが女で合っていたことに対してなのか、女のあたしならマモルの気持ちをキープできると思ったからなのかは判断がつかない。