ゲイな彼と札束


何も答えられないジョージに、マモルはため息をついた。

「子供ができたんだ。仕方がないよ。わかってる」

仕方ない、か。

そうやって諦めるしかないなんて、恋人同士とはなんて脆い関係なのだろう。

自分とマモルの名目だけの関係が、ますますバカみたいに思えてきた。

「マモル……」

「だけど、俺に気持ちがあるなんて二度と言っちゃダメだよ」

「……ごめん」

マモルは青いチェックのカップを持ち、気持ちを落ち着けるようにコーヒーを一口。

ゆっくり息をつき、カップを元の場所へ置いた。

「土屋のこと、大事にしてよ。相手が男でも女でも、浮気なんかしないでよ。元仲間として、頼むからさ」

相手が男でも女でも、マモルでも。

たとえ気持ちが離れているわけではなくても。

妻になった女のために。

生まれてくる子供のために。

不純な気持ちは断ち切らねばならないはずだ。

マモルがジョージの支援を甘んじて受けているのは、プライドを捨てて金で片付けられたわけではなく、きっとこの最悪な結末を受け入れ、その意思をジョージにも示すためだ。

「だけど……」

ジョージがまた何か言おうとする。

でもでもだってって、女かよ。

大物俳優の情けない表情。

テレビに映る人も人間なんだと思い知ったが、いい加減さに心底腹が立つ。

「だけどもへったくれもねーだろ。家族のことを第一に考えんのがお前の義務だろうが。何ヶ月も放置しといて、今さらいいやつぶってんじゃねーよカスが」

あたしはタバコに火をつけ、殴りたいのに殴れない分の憤りを全て吐き出すと決めた。