ゲイな彼と札束


ヤマ先輩は、あたしの捜索中に捕まったうちの一人だと聞いた。

刑務所に収容されるほどのことはしていなかったようだが、チンピラのような風貌から、まだまだ抱えている不満を社会にぶつけきっていないことがうかがえる。

訪ねてきた理由は大体想像がつく。

が、何をされるかわからない。

ヤマ先輩をこの部屋から追い出すように店に戻ると、店内には他に4人男がいた。

卑怯なやつらだ。

男ばかり集めやがって。

高木のオッサンはこの状況でも呑気な顔でタバコを吸っており、チラッとこちらを見て眉間にしわを寄せた。

案外肝の据わったオヤジだ。

でも、せっかくの酒を不味くして申し訳ない。

あたしは彼にアイコンタクトで詫びの意思を示し、無言のまま上着を取り、それを羽織りながら男たちと店を出た。

出るなり二人がかりで手を後ろ手に縛られる。

ヒールのブーツで一人を蹴り飛ばしてやったが、二人目をやる前にヤマ先輩に首を掴まれた。

「がっ……!」

苦しさと痛さが洒落では済まないレベル。

殺されかねない。

この場で騒ぎを起こすのは困る。

店に迷惑はかけたくない。

あたしは大人しく縛られたまま歩くことにした。