向かう先は教室。

自分のクラスの、自分の席。



『おはよ、結衣!』



そう言って、今日も藍は笑って迎えてくれるはずだったのに、今日はいなかった。





……今日から藍のいない生活……。

これが、みんなの言う『呪い』。










──呪いの始まりは四月。

新学期が始まって二週間ほど過ぎた頃、初めての被害者が出た。



最初は一年の男子生徒だった。

藍と同じようにあの音楽室の前で倒れていた。

心臓は動いてるけど、意識不明。

原因も不明。

朝発見されたから、夜中に何かが起きたということしかわからなかった。



なにも解明出来ないまま、二人目の被害者が出た。



次は六月上旬。

三年の女子生徒だった。

雨の日で、その日も朝発見された。

意識不明で、原因不明。



まったく同じことが起きた。



これをみんなは『呪い』だと恐れた。



あたしだって少し怖かったけど、まさか呪いだなんて信じてなかった。



……でも夏休みを目の前に控えた今、再び恐れていたことが起きた。