家に帰れば誰もいない。

笑って出迎えてくれる人がいなければ、遅くなって心配してくれる人もいない。

学校でも、心配してるのか、『呪い』が移ると思ってるのか知らないけど、あたしに近づいてこようとする人は一人もいない。



家でも学校でもただ一人。

一番仲の良かった藍でさえ、今はいない……。



眠れないと思っていても、気付けば朝は来ている。



登校時間すらもどかしい。

もう藍は目を覚ましてるんじゃないか?

毎日考える。

でも、実際には一度も目を覚ましていなくて……。



そりゃそうだ。

だって四月に意識を失った人ですらまだ目を覚ましていないんだから。

六月の時の先輩もそう。

もちろん、藍だって例外じゃないだろう……。



その時

――目に映った光景に、体が勝手に走り出していた。