「謝ろうかな…」


梓達の様子を見ていた奈緒がぽつりとこぼした。






せっかくの文化祭なのに…


行事なんか好きじゃないハズの亮が来てくれたのに

気まずいままなんて…



やっぱり寂しい…




「そうしなよ。

きっと待ってるよ、桜木先輩」


梓に笑顔を向けられて…

奈緒が照れた表情で頷いた。



これ以上梓達の邪魔をするのも少し気が引けて

奈緒が足早に屋上に向かった。





まだいるよね…?


『同時進行男』って言った事怒ってるかな…



許してくれるかな…





奈緒の胸を不安が襲ってくる。


その不安をかき消すように屋上までの廊下を走る。





不安よりも何よりも…


亮に会いたかった。



武史が梓に向けるような優しい目で…



見つめて欲しかった。








.