「梓も関先輩も楽しんでる…」
奈緒が口を尖らせながらボソッとこぼすと
2人が笑い出した。
「だって奈緒可愛いんだもん(笑)
そんなあからさまにやきもち妬いちゃってさ」
「つぅかさ、亮、奈緒ちゃんにべたぼれじゃん(笑)
奈緒ちゃんと付き合うようになってからは女遊びなんかしてないし、
全員女切ってたよ」
2人の言うことは
自分自身よく分かっていた。
大事にされてるのだってわかってるし、
昔の話だって事もよくわかってる。
中学の事なんて出逢う前だし
亮が何しようと自由で…
亮の過去にまで文句を言うつもりなんかないのに…
雪乃の笑顔が…
上品な話し方が…
亮が『雪乃』って呼び捨てにしたことが…
奈緒の気持ちを荒立たせて
混乱させる。
「あ~あ…
あたしだったらそんな事でやきもちなんか妬かないのに~
桜木先輩可哀相~」
奈緒達が話していた横で
同じくメイド服を着た山本が薄笑いを浮かべていた。
『1の2
メイド喫茶』
そんな看板を持っているところを見ると
どうやら客寄せに宣伝してきたようだった。
「…なんか山本さんが着るとイメクラみたい」
「武ちゃん!!」
嫌味だけ吐いて通り過ぎて言った山本の後姿を見ながら
武史が呟くと
梓が異常な反応を見せる。
「ってゆうか山本、本当にむかつくんだけど!!
絶対根に持ってるよ、体育祭のときの事。
もともと山本の男じゃないのにっ!!」
「梓…
関先輩いるから(笑)」
武史の前でも感情を露にする梓に戸惑いながら
奈緒が声をかける。
でも
1人で怒っている梓に向けられている武史の視線は
暖かくて…
まるで見守るような優しい目が
自分を見つめる亮の目に似ていて…
少しだけ胸が苦しくなった。
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