なんだかどうしょうもない悲しさと苛立ちが
襲ってきて…
奈緒が顔をうつむかせる。
「…まぁ、昔の事だし気にすんな。
寒いだろ…
…こっち来いよ」
亮が掴んでいた奈緒の手を引く。
でも…
奈緒の足は動かなかった。
「奈緒?」
「亮って…
誰とでもそうゆう事するんだね…」
顔を上げた奈緒の瞳が少し涙で濡れていて…
亮が一瞬驚いた表情を浮かべた。
そして…
奈緒の言葉にため息をつき
真剣な表情で奈緒を見つめる。
「…だからそれは昔の事だろ?
…今は」
「あたしお店戻らなくちゃだから」
亮を睨むように見上げながら
奈緒が亮の腕を振り切って歩き出す。
奈緒がドアに差し掛かったときに
亮が呼び止める。
緩い風が奈緒の髪を揺らしていく。
「…おまえ何怒ってんだよ。
昔の話だって言ってるだろ?」
「聞きたくないっ
亮のバカ!
…同時進行男!!」
こんなに怒った奈緒は初めてで…
亮は言い返すこともできないで
奈緒の後姿が消えるのを見ていた。
「なんだよ…
あいつ」
つまらなそうにそう呟いてみても…
思わず口元が緩んだ。
奈緒のやきもちが伝わってきたから…
「…最後まで話聞けよ」
緩んだ口元からまた1つため息が落ちた。
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