「ごめんね、気になるよね。
なんて言えばいいかな…」
奈緒の気持ちに気づいた
雪乃が少し言いづらそうに表情を歪ませる。
雪乃の上品な声を聞き逃さないためか
周りのギャラリーもやけに静かで…
隣のクラスの騒がしい声がよく聞こえてくる。
教室中が息を潜める中…
雪乃が口を開いた。
「亮くんの初めての女…かな(笑)」
『初めての女』…?
雪乃の声が奈緒の耳に飛び込んだ瞬間、
亮の両手が奈緒の耳を塞いだ。
「余計な事言うんじゃねぇよ…」
「でも…亮くんあの時初めてだったでしょ?」
亮の両手に塞がれていても
2人の会話は聞こえてきて…
雪乃の言葉に亮が深いため息をもらした。
「…行くぞ」
そして奈緒の腕を掴み
雪乃に背中を向けて歩き出す。
廊下に出ると
やけにテンションの高い曲がスピーカーから流れていた。
音量も結構なものでかなり耳障りなはずなのに…
ちっとも頭に入ってこない…
『初めての女』
その言葉が…
奈緒の頭をぐるぐる回る。
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