『雪乃』
見上げた亮の視線が
目の前の女性に釘付けになる。
「久しぶりね…
3年以上経ってるかな…
元気だった?」
穏やかに笑う雪乃に
亮が少し気まずそうに口を開く。
集まったギャラリーも2人の会話に
耳を傾けていた。
「…あぁ」
「相変わらずね(笑)
…その子、彼女?」
2人の間を流れるただならぬ空気に息を潜めていた奈緒を見て
雪乃が言った。
雪乃の視線が向けられた途端、
奈緒の体が少しすくんだ。
「…あぁ」
亮の声に
奈緒が亮を見上げる。
普段から口数の少ない亮だったが
様子が明らかにいつもと違っていて…
誰にも怖気づかない亮が
目の前の雪乃の扱いに少し困っているように思えた。
「初めまして、太田雪乃です。
…なんていう名前?」
亮の横顔を見ていた奈緒が
雪乃の言葉に慌てて口を開く。
「あ、水谷奈緒ですっ
…こんな格好ですみません」
慌てて前を向いたせいで
頭につけたメイド風のカチューシャが揺れて…
自分がメイドの格好をしている事を思い出した。
「ううん(笑)
可愛い。よく似合ってる」
気まずそうに笑う奈緒に
雪乃が穏やかに微笑む。
外見から言うと、
雪乃はもう社会人に見えて…
こんな大人の女と亮の接点が見つからない。
一体どうゆう関係なのか…
そんな疑問を浮かべながら奈緒が雪乃を凝視していると…
その視線に気づいた雪乃が笑みをこぼした。
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