イジワルな恋人〜番外編〜



そしてやっと梓が席に案内して…


みんなが仕事に戻った頃、

もう一度、教室の中がざわめいた。


見ると1人の男が
その女性に話しかけているところだった。


「すっげきれいですよね!

オレ友達ときてるんすけど一緒に回りません?」


…ナンパ?

見るからに軽そうな茶髪の男が女性の隣に座りながら笑顔を向ける。


「いえ、友達と待ち合わせなんで…」


「じゃあ友達も一緒で!」


強引な男の口調に
女性が困ったように笑って…


その様子を見て男を止めようと
踏み出した奈緒を梓が止めた。


「奈緒!

だめだよ!

こないだ桜木先輩に怒られたばっかじゃん!

自分からは絡んで行くなって言われてたでしょ?」


がっちりと腕を掴む梓に

奈緒が顔を歪ませる。


「だって…

あの人困ってるしほっとけないよ…


大丈夫。

亮今日の事知らないし…

相手も1人だしなんとかなるよ」


どうしても亮にメイドをやるなんて言えなくて…

今日が文化祭だって事も奈緒は亮に話していなかった。


奈緒が男に近づき、後ろから声を掛ける。


その席の周りだけ人がいなくて
変な空気を漂わせていた。


「お客様、申し訳ないんですけど
店内でのナンパはお断りしてますので」


奈緒の言葉に男が顔をしかめながら振り向いた。


「…メイドさんも可愛いじゃん。

ってゆうか、2人ともレベル高くてオレ選べねぇし(笑)」


選択権なんか最初っからないし…


いかにもバカそうな男を奈緒が睨みつけると

男が奈緒を見てにやっと笑みを浮かべた。


「いいねぇ…

オレ勝気な女大好き(笑)」


そう言いながら男の手が伸びてきて…

奈緒がその手を持って合気道の技で転がそうとした瞬間…


男の手を掴もうとした奈緒の手が空を切った。


「いってぇよっ…!!」


でも男からは悲鳴が上がっていて…


「…おまえ、このあいだオレが言った事覚えてるよな?」


男の後ろに

不機嫌そうな亮が立っていた。





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