「奈緒可愛い~!!」


文化祭当日、

メイド服に身を包んだ奈緒を見て
梓が喜びながら言った。


「梓の方が似合ってるよ…

ツインテールまでしちゃって…

なりきってんじゃん(笑)」


メイド服にかなりテンションの上がってる梓に
奈緒が苦笑いを浮かべた。


教室には場違いなフリフリのメイド服は
かなり恥ずかしくて…

でも隣のクラスのキャバクラや
男子のクラスのオカマバーなど

何でもありな雰囲気に奈緒もようやく恥ずかしさを感じなくなった。


「武ちゃんのクラスはホストクラブなんだって!

奈緒後で一緒に行こうね。


ってか、桜木先輩いたら絶対氏名ナンバー1になれてたよね(笑)」


普段の制服のブレザーですら
スーツに見えてしまうような亮の外見は
確かにホストにはもってこいだった。


でも…


「愛想ないから無理じゃない?(笑)」


奈緒の言葉に梓が笑った。


一般のお客さんが入り始めて少しした頃…

すっかり可愛らしく姿を変えた教室の中がざわめいた。


「ね、奈緒!

超きれいな人がいる!」


廊下から教室の中を覗いている女性を指差して

梓が少し興奮した様子で奈緒に話しかけた。


梓に言われ奈緒が視線を移すと…


梓が騒ぐのも無理ないくらいきれいな人が立っていた。


今時珍しい黒髪は肩くらいまでの長さで揺れていて

ぱっちりとした大きな目に薄いメイク…

肌はため息がでるほど白くて…


とても上品な笑顔を浮かべて笑っていた。



「きれいな人…」


奈緒が思わず声を漏らしていると

その女性がメイド喫茶に入ってきた。


教室内の誰もが

席に案内するのも忘れてその女性に見入っていた。



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