「え…」
拍子抜けしたような間の抜けた声が奈緒の口からもれる。
そんな奈緒を亮がニヤリと笑いながら見た。
「…何されると思ったんだよ」
意地悪な顔をした亮に見つめられて…
「べ、別に何も思ってないもん」
奈緒が顔を赤くしながらあんまんをほおばった。
いつまでも見つめてくる亮の視線が恥ずかしくて…
奈緒がやっと口の中のあんまんを飲み込んだ時、
亮の手が
奈緒の頬に触れた。
そして少しだけ笑みを浮かべる。
「…ついてるし(笑)」
「え?」
奈緒が聞き返した瞬間―――…
亮が奈緒の口の端についたあんこを
舌でなぞった。
「…っ」
唇に触れるか触れないかの亮の舌の動きに
奈緒が体を強張らせる。
「奈緒?
…どうした?」
わざとらしい亮の言葉に
奈緒が亮から顔を背ける。
「…意地悪」
「何が(笑)
…何かして欲しいなら言えよ」
そう言いながら
亮が指先で奈緒の唇を触る。
「…~っ!」
亮の挑発に…
奈緒が亮を睨んだ目つきで見上げた。
そんな奈緒に
亮の浮かべていた笑みが消えて…
小さくため息をついた。
「…ずりぃな」
そう言って…
奈緒の顎を上げて唇を塞いだ。
「…んっ…ぁ…」
奈緒の唇から漏れた声に
亮が奈緒の背中に回した腕に力をこめる。
「…今日うち寄ってけよ」
亮の言葉に…
奈緒が小さく頷いた。
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