イジワルな恋人〜番外編〜



誠と校門で別れた後、

家までの道を1人で歩く。


詰め込んでいたバイトは週に3日に減らした。


最初から必要なかったバイトだったが、
やっぱり美子への負担は減らしたかった。



いつのまにか…


1人で歩いて帰るのも


亮のいない屋上も


自分の生活に溶け込んでいて…


たまにそれが寂しく感じた。



当たり前のように毎日亮とお弁当を食べた屋上は

あの後、立ち入り禁止になった。



なんとなく足が向かって
何回か忍び込んだが…

そこの亮の姿があるわけじゃなく…


そんな当然の事に胸が痛んだりもした。



全部が自分のせいだと思った事もあった。


でも…

亮がそれを望まないことは分かっていたから…



なるべく気にしないようにして…



それでも…

奈緒の中の罪悪感は消えなかった。



今でも…





これからは普通とは違う道を歩かなくちゃならない亮に…

何度も心の中で謝った。






「奈緒」


急に名前を呼ばれ

奈緒が顔を上げた。



目の前には…

黒いコートに身を包んだ亮の姿があって…


「亮…

どうしたの?」


少しびっくりして言うと

亮がにやっと笑う。


「…とりあえず落ち着いたし。

彼氏らしいことでもしてやろうかと思って」


そう言って奈緒の手を握った。


「え…歩き?!」


「運動がてらな…

つぅか北村いたら邪魔だし(笑)」


意地悪に笑う亮に…

奈緒が少し顔を赤くして笑顔を返した。




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