きっと化粧が落ちてひどい顔をしてるはずなのに…


智也はただ優しく美沙を見つめ返していた。



「やだよ…

誰の隣でもいいなら…


智也の隣がいい…」


子供みたいに泣きながら言う美沙に

智也が笑って美沙の頭を引き寄せる。

そして自分のおでこを美沙のおどこにくっつけて…



「じゃあ…

仕方ないからオレが幸せにしてやるよ」


そう笑って…


智也が美沙の唇をふさいだ。









いつからだったかな…


美沙のことを好きだと思ったのは。



誰かに甘えたいくせに妙に強がりで…

いつも心を閉ざしてた。


でも…

オレだけに笑顔を見せてくれるようになった。



その頃かな。

美沙を好きだって気づいたのは。


他の男に同じ笑顔を向けて欲しくないって思った。


でも一緒に居るうちに気持ちが変化していって…


オレだけのものにしたかったはずなのに…


そんな気持ちがいつの間にか消えて…


純粋に美沙の幸せだけを願う自分に気づいた。




美沙は変だって言うけど…


オレの美沙への愛情は美沙が思ってるよりずっと大きいんだと思う。



そりゃ、オレの隣で笑っててくれるのが一番いいに決まってるけど…


オレの独占欲よりも、美沙の幸せを第一に考えたかったんだ。



でも…

美沙が選んだ以上もう他の男になんか渡さないけど…。





「とりあえず今度美沙の両親に謝りに行かなくちゃな(笑)」


「…そんなの後で考えればいいじゃん。

それより今はあたしのことだけ考えてよ…」


美沙が上目遣いで智也を見上げる。


計算しつくされたその表情に智也が顔を歪めた。


「そんな色仕掛けがオレに通用すると思ってんのかよ(笑)

…でもまぁ、

今は騙されてやるよ…」


智也の言葉に少し顔を赤くした美沙に

智也がキスをする。



熱いキスを―――…



今までの時間を取り戻すように…






第2章 END

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