「何やってんだよ!」
珍しく感情を抑えられずにいる智也に少し美沙が戸惑った。
心配してくれていることに少しうれしくなった時…
智也が言葉を続ける。
「水谷にも迷惑かけて…」
…なんだ。
智也もそうなんだ…
少し浮き上がった気持ちが一気に底に落ちた気分だった。
「それが一番言いたいんでしょ?!」
みんな…みんな『水谷さん』が大切なんでしょ?
あたしなんてどうでもいいんでしょ…?
「美沙…」
智也の手が美沙の肩に触れる。
美沙がその手を振り払った。
「やめてよ!
同情なんかされたくない!
…智也にだけはされたくない」
…あたしは
何が欲しかったんだろう…
同情される水谷さんが羨ましかったくせに…
可哀相って言われる水谷さんが憎かったくせに…
今になって
『同情なんかされたくない』なんて…
今までやってきたことは…
結局なんの意味もなかったの…?
勝手にいじけて
水谷さんを傷つけて
亮くんを退学にさせて…
智也にまで同情を煽って…
あたしは…
「…同情じゃない」
美沙が無表情で涙を落としていたとき、
智也が言った。
その言葉に美沙がゆっくりと顔をあげて智也を見た。
そこには真剣な表情をした智也が居て…
次の瞬間には
美沙は智也の腕に抱きしめられていた。
「同情でこんなに熱くなるかよ…」
今までで一番近くから聞こえる智也の声に…
美沙の時間が止まった―――…
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