イジワルな恋人〜番外編〜



智也が家に連絡して
美沙は実家に帰ることになった。


「今は水谷と距離をあけた方がいいと思うんだ。

美沙の気持ちの整理が付いたらまたいつでも来いよ。


あの部屋は美沙の部屋だから」


美沙を実家に送る途中に智也が言った。



…なんで?

なんであんなひどいこと言ったあたしに
そんな優しい言葉をかけるの?


あたし最低じゃん…


なんで…


美沙が窓を開けると強い風が車内に入り込んできた。


その風が美沙の流した涙をきれいに吹き飛ばしてくれる。



もう一度やり直したいなんて思ってない。


もう…

きっと無理だから…



でも…

1つだけ強くおもう事がある。


あの部屋に戻りたい。


智也と向き合ってご飯が食べたい。



実家には…

戻りたくない。



でもちゃんと気持ちが落ち着いたら…


また戻ってもいいの?


智也は…


あたしを待っててくれる?


こんな最低な女を…

また笑顔で向かい入れてくれるの?




どんどん溢れてくる涙に窓が閉められなくて…


「さみぃよ(笑)」


智也が運転しながら笑った。


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