イジワルな恋人〜番外編〜



それから毎日のようにバイトに入るようになった美沙は

奈緒と顔を合わす回数も増えていった。


週4日バイトを入れている奈緒は他にもバイトを掛け持ちしていると言っていた。


「店長には内緒にしてくださいね」
そう笑う奈緒に美沙は笑顔でうなづいた。


バイトが一緒になるたびに
美沙の視線は自然と奈緒に向けられていた。


智也と同じくらいに奈緒を目で追っている自分に
なんだかおかしくなりながらも

どうしても目が追ってしまう。



美沙の目に映る奈緒は…

素直でよく笑って…


『いい子』そのものだった。


そして気づいた。


たまに見せる悲しい表情に…



智也が言っていたとおり、
誰も寄せ付けないような…

他人を拒絶するような表情…


その表情が男に向けられていることに…


気づいた。



…そりゃそうか。


勝手に自分に好意を持った知らない男が
家族を殺したんだから…


男嫌いになって当たり前…


奈緒の表情に
少しだけ…美沙の胸が痛む。



小さくため息をついて
美沙は奈緒の接客している男の前に立った。


「あたしがご案内しますね」


そう言って奈緒を他の仕事に向かわせた。


奈緒を気に入ったみたいで
なかなか席に案内させない男に困っていた奈緒を
見ていられなかった。


…別に助けたわけじゃないけど。


見てて気に入らないだけ。


大体この男も鏡見てから口開けってんだよ…



いい人のように行動してしまった自分が

なんだかやりきれなくていつくも言い訳を並べる。



男を席に案内した後の美沙の顔が

照れたように少し緩んでいだ。






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