眠れないまま時計は夜中の3時を指していた。


どこかにいるとは思ってた被害者。


それでも目の前にすると今までとは全く違う感情がわきあがる。


どこか現実味のなかった事件が

あの事件が本当に起こったことなんだと思い知らされて…

少し恐くなった。


あの子は…


あたしよりも若いのにずっとこの現実と戦いながら生きてきたんだ。


生活費を稼ぐためにバイトして…


大体…

なんであの子の家族を?


あの子に想いを寄せていたんなら
なんで大切な家族を奪ったの…?


美沙の頭に川口の気味の悪い笑顔が浮かび
身震いした。


あの子は…

毎日眠れてるのかな…


たった一人残されて…


それでも普通に生活しなくちゃいけなくて…



美沙の胸が苦しくなる。


あの子と比べて…

あたしのほうが幸せだなんて
安心なんかしてる場合じゃなかったんだ。



だって比べようがない…



ただ逃げ出していたあたしと

逃げたくても逃げられないあの子。



よく覚えてないけど…

悲しそうな目をしてた気がする。



…別に何かしてあげようとかは思わないけど


そんな偽善者でもないし

いい人でもないし。



気になるのは…

『同情』と『興味心』から…?



よく


わからない。




目をつぶると

オムライスを食べながら智也が浮かべた悲しそうな表情が浮かんできて…



美沙の心の別の場所を締め付けた。



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