イジワルな恋人〜番外編〜



「…なに?」


智也の真剣な顔に
美沙が少しドキドキしながら聞く。


「まぁ…

そのうちに話そうとは思ってたから」


智也が美沙からスプーンを取り返して話をきり出した。


「水谷は川口事件の被害者の家族だよ」


「え…」


言葉がでない美沙を智也が一瞬見上げて
またオムライスに目を向ける。


「もう…3年近く経つけど…

まだ…多分忘れられてない」


淡々と話す智也に

美沙は黙ったままだった。


智也はオムライスを口に運びながら
美沙とは目を合わせずに話を続ける。


「水谷がバイトの面接にきたのは4ヶ月くらい前。

もちろんそん時はオレも何も知らなくて…


バイトに来て話すようになってから知った。

って言っても直接聞いたわけじゃないんだ。


なんとなく…気になって履歴書を見直したら
家族が祖母だけでさ…


それで…あぁ、そうかって…」


「…おばあちゃんと2人で暮らしてるってこと?」


やっと口を開いた美沙に

智也がうなづく。


「年金暮らしだしな…

生活費のためにバイトしてるのかな…」


智也の言葉が美沙の胸を苦しくさせる。


「だって…まだ高校生でしょ?


そんな…」



そんな…

家族も失ったのに生活するためにバイトしてるの…?


まだ高校生なのに、あの子が自分で…?




「…やってらんねぇよな」


智也の手が再び止まる。


智也のつらそうな表情に美沙の顔がゆがむ。



重い空気が

部屋を包み込んでいた。



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