イジワルな恋人〜番外編〜



「つぅかさ、
明日からどうすんの?

…学校行ける?」


落ち着きを取り戻して
隣で小さく体育座りしている美沙に
智也が話し掛ける。


「…本当なの?

川口さんちの事…」


質問を返す美沙に

智也が戸惑いながら話し始める。


「…放火して三人亡くなったって。

四人家族だったんだけど…

中学生の娘に勝手に入れ込んで…


その子の家族を…」


智也の言葉に美沙が智也を見つめる。


「じゃあ…

その子一人なの…?」


智也が静かにうなづいた。


「まだ中学生なのにな…」


智也のつらそうな顔を見て
美沙の胸が痛んだ。


親戚の川口が殺人をしたということよりも

今一人でいるその子が気になって仕方なかった。


あたしもそうだから…


いてもいないような家族だから…


だからよく分かる。


一人ぼっちのつらさが…




あたしには智也がいる。


心配してくれる人が…



でもその子には…?




「美沙?」


急に立ち上がった美沙に
智也が声を掛ける。


「…学校行って来る。

その子もきっと頑張ってるから…

あたしも頑張る」


照れ隠しからか
智也から顔を背けながら美沙が言う。


そんな美沙に微笑みかけながら
智也も立ち上がった。


「まぁ、何かあったらすぐに呼べよ。

かけつけてやるからさ。

美沙は優しいよな。

…オレは被害者の子よりおまえの方が心配だよ」



被害者の事を考えて痛んでたはずの胸が

智也の言葉にときめき始める。


そんな自分が嫌で…


美沙は智也に視線を向けないまま学校へ向かった。



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