「あ〜、腹いっぱい!
おいしかったね」
お好み焼き屋を出たところで
武史が背伸びをする。
「ごちそうさまでした。
ホントにおいしかったです」
「でしょ?
また来ようよ。
さてそろそろ帰ろうか。
送るけど…電車?」
武史が梓を振り返りながら聞く。
「一駅だけ電車で…
駅からは歩きで5分くらいなんで送ってもらわなくても大丈夫です」
「…オレも一駅電車だし…
5分ならついでに遅らせてよ」
ニコッと笑う武史をなんだか断れなくて
梓はうなづいた。
…送ってもらうのが嫌な訳じゃないけど…
優しくされると…
勘違いしちゃうよ…
あの時みたいに…
「梓ちゃん、行こ?」
少し先を歩く武史の後ろを
やっぱり追いつかないように歩いた。
事あるごとに振り返って笑顔を見せる武史に
梓は少しドキドキしていた。
.



