当時の美沙は元の明るさを取り戻して
学校にも普通に通っていて友達もいた。
智也の隣に並びたい。
その想いが楽しい学校生活を過ごさせてくれてる。
そう思うと余計に智也が大切な存在になっていった。
親友とまでは呼べなくても、
仲のいい友達。
たまに男子から告白もされたりしていた。
誰とも付き合わない美沙を悪く言う子もいたが気にならなかった。
何より、自分の心に素直でいたから
そんな影口も聞き流せた。
全てが順調で、
『学校も悪くない』
そう思えてきたとき、あの事件が起きた。
美沙の親戚の川口が
放火殺人を起こした―――…
遠い親戚のため、あまり面識はなかったが
お正月に一回だけ会ったことがあった。
年も近かったが美沙はあまり話さなかった。
幼いながらも近寄りがたい雰囲気を感じていたから…
暗そうで…
いかにもいじめられてそうな人だったのを覚えている。
事件を知ったのは…
母親の大きな声がきっかけだった。
朝起きると母親が電話をしながら大声で話していた。
聞こうとも思っていないのに耳に入ってくる甲高い声。
「殺人事件って…
川口さんちの息子さんが!?」
―――殺人…事件?
「でもうちまで来ないでしょ?!
だって…親戚っていってもずいぶん遠いし…
ええ…そうね…」
…まぁでもやりそうな人だったし。
殺された人は可哀相だけど…
あたしには関係ないし…
そう思いながらも心臓はドキドキしていて
そんな動揺をなくしたくてその日は早めに学校へ行った。
『あたしには関係ないし…』
友達がそうは思っていないことを
学校へ行ってから知った。
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