「美沙、ちゃんと学校行けよ。
親に反抗したいのは分かるけど、
今ちゃんと行っとかないと
後で大変な思いするのはおまえだぞ」
保護者ぶる智也の態度に腹が立った。
「別に反抗してるわけじゃないし」
「じゃあなんだよ」
智也が美沙にため息をつきながら聞く。
別に親に反抗したいわけじゃない。
最初は智也に心配されたかっただけなのに…
今は自分が何をしたいのかも
何を求めているのかも分からなくなっていた。
あたしが学校に行かなくても誰も何も言わない。
お母さんだってあたしが学校に行ってないの知ってるくせに
毎朝何も言わない。
「いってらっしゃい」も「おかえり」も何も…
最近帰ってこないお父さんもあたしのことなんて
気にかけてない。
電話一本かけてこない。
智也だって…
お母さんに頼まれて探しに来るだけで…
そのうち新しい彼女でも出来たら
あたしなんかどうでもよくなるくせに…
無関心な両親が気に入らないのか
智也に置いて行かれることが恐いのか
自分が何を望んでここにいるのか…
何も分からない。
考えても考えても子供っぽい言葉しか浮かばなくて…
気がつくと美沙の頬を涙が伝っていた。
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