「…先輩の笑顔っていいですね」
お好み焼きを口に運びながら言った梓の言葉に
武史は笑った。
「なにそれ(笑)
初めて言われたし」
梓は武史に笑顔だけ返した。
…でも本当にきれいな笑顔。
裏表なさそうないい人の笑顔…
あたしは…
ずっと胸にあの事が詰まってて上手く笑えない…
笑ってても…
どこか苦しい。
どうやったらこのつかえがとれるのか…
関先輩なら知ってるのかな…
だから『遊ばれちゃった』なんて笑えるの?
梓の視線に気づいた武史は
「梓ちゃん、オレの狙ってるだろ(笑)
…仕方ねぇな〜。
せっかくソースとマヨネーズがうまい具合にかけられたのに〜…
自信作なのに〜」
と、色々言いながら
梓の前に自信作のお好み焼きを置いてくれた。
…自信作?
目の前に置かれたお好み焼きは
武史のきれいな笑顔とは違って
形もソースの割合もすべてが不格好で…
梓は笑いが止まらなかった。
.



