ねぇ、智也。
智也は覚えてるかな?
あたし達が初めて出逢ったときのこと。
あたしはまだ小学生で…
智也は高校生。
変声期で声が枯れてたのをよく覚えてる。
意地っ張りで全然素直じゃないあたしに
智也はため息をつきながら困ったように笑う。
その顔が大好きだったの。
でも、智也にとって見れば
あたしなんかただの親戚の子だったよね。
9歳も年が違うし、
あたしは智也にどう思われてるか知りたくて
いつも違う男と歩いた。
だけど、智也は何も言わない。
智也にとってあたしは…
どんな存在なの?
素直に聞けないあたし。
大人の智也の気持ちがわからない。
.



