武史に見つめられるのが恥ずかしくて梓は照れ隠しで下を向く。
「…梓」
上から降ってきた言葉に梓の顔が緩んだ。
『梓』
名前を呼ばれることがこんなに嬉しいなんて不思議だ…
いつもの自分の名前が特別に思えた。
「…梓」
2回目に呼ばれたとき、梓がようやく武史を見上げた。
その瞬間
武史が梓にキスをした。
少し長めの触れるだけのキス…
そして唇を離してから笑う。
「これでちょっと恋人っぽくない?」
いたずらに笑う武史に梓が顔を赤くしながら言う。
「…まだ足りないよ?
もっといっぱいしないと…
恋人っぽく見えないんだから」
赤い顔で武を見上げながら笑う梓に武史も微笑む。
そしてもう一度唇を重ねた。
キスしながら絡めた手が…
キスと同じくらいうれしかった。
何度かキスをした後、手をつないでお好み焼き屋に向かった。
「今日はあたしが焼くね」
武史の不恰好なお好み焼きを思い出し、
笑いながら梓が言った。
ずっとずっと繋いでいたい手を
やっと見つけた…
武ちゃん、大好きだよ…
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第一章END



