「ねぇ、あたしって誰から見ても邪魔じゃない?」
奈緒の手を取って歩く梓に奈緒が言う。
「邪魔なんかじゃないってばっ」
「でも~…」
奈緒が後ろを歩く武史をチラッと振り返ると
武史がにっこり笑う。
「別に邪魔なんかじゃないよ?」
奈緒も仕方なく武史に笑顔を返した。
武史の言葉に安心しながら梓は帰りを急いでいた。
もしかしたら真也が来るかもしれない。
それより前に校門を出れば…
梓の頭にはそればかりで、奈緒の手を掴んでぐんぐん進む。
「梓~?」
後ろから奈緒の困ったような声が聞こえた瞬間…
梓が止まった。
急に立ち止まった梓に奈緒がぶつかる。
「もぉ~…
何?」
ぶつかった顔を押さえながら
奈緒が梓を覗き込んだ。
梓の目がまっすぐ校門に向けられたまま見開かれていた。
奈緒も校門へ目を向ける。
「…あれって」
それだけ言って口を閉じた。
校門で数人で座り込んでいる他校の男達…
その中に
真也の姿があった。
真也が梓達に気づき、立ち上がる。
「水谷さんだよね?」
梓には目も向けずに真也が言った。
「そうだけど…
何か用?」
梓の事を知っている奈緒はわざと冷たく返事をする。
そんな奈緒を見て真也の友達が横からはやし立てた。
「へぇ、気強いんだ?」
「いいよね、美人で強気とかって…
一度、言うこと聞かせてみたい感じ(笑)」
友達のそんな言葉には耳もかさずに
奈緒は真也をにらみつけていた。
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