「梓はその彼のこと、すごく信じてたから…
かなりショックが大きかったみたいで…
高校入って初めて話したときも
まだ付き合ったりするのは恐いって言ってました」
少しうつむきながら話す奈緒を
武史が見つめながら聞く。
「…なんでオレに?」
武史の言葉に
奈緒が武史を見つめる。
「梓の様子がおかしいんです。
多分、自分の中で葛藤してるんだと思う。
…また男の人を信じるかどうかを。
梓はきっと自分からはこの事を話したりしないから…
でも関先輩には知っておいて欲しかったんです」
「知ってれば梓ちゃんを裏切るようなことしないから?」
ふっと笑う武史に
奈緒も笑顔を返す。
「知らなくたってそんな事しないよ。
オレ平和主義だからね(笑)
誰かが傷付くとか嫌なんだ。
…でも知れてよかった。
ありがとね」
「…亮が
最近関先輩はやけに大人しいって
不思議がってましたけど…?」
奈緒が少し意地悪な事を言うと
武史が笑い出した。
「亮やいてんのかな(笑)
オレがかまってないから…
今まで亮にべったりだったからなぁ」
それが今は誰にべったりなのか…
奈緒にはわかっていた。
だから何も言わずに微笑んでいた。
それに気づいたのか
武史が少し恥ずかしそうに笑う。
「…本人には内緒にしてね?」
2人きりの屋上に
午後の授業の予鈴が鳴り響いた。
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