「おいしいっ!」


「でしょ?

多分オレの焼き方がうまいのもあるけどね(笑)

通いつめてここのおばちゃんに焼き方教えてもらったんだぁ。


客でオレの右にでる奴はいないね…多分」


武史は自分の分のお好み焼きを取り分けながら子供みたいな笑顔で話した。


「おっ、うめ〜!

さすがオレ(笑)」


なんだか見ているだけで
元気になれてしまうような武史の無邪気な笑顔が
梓の緊張をほぐしていく。


「関先輩って楽しい人ですね(笑)

見ててあきないってゆうか…」


「よく言われるよ。

…で、友達止まり(笑)

それがお決まりのパターン。

もう一皿頼もっか」


武史が注文し終えるを待って
梓が聞いた。


「先輩って今まで何人と付き合いましたか?」


「2人かな…。

なんかでも遊ばれちゃった感じかな(笑)

2人とも年上で向こうから誘ってきたんだけど…

向こうにしたら本気じゃなかったのかもね」


笑う武史を梓は不思議に思った。


「先輩も本気じゃなかったの?

…つらい話なのになんで笑って話せるの?」


鉄板に向けられていた武史の視線が梓に向けられた。


真剣な顔で武史を見つめる梓を見て

武史はまた視線を鉄板に戻す。


「…オレこんなだけど好きになんなきゃ付き合わないよ。

だって…暗い顔してたってつまんないだろ?

それに1年くらい前の話だし立ち直ってるから」


そう言って笑った武史は

今までの笑顔とは違って
「男」の顔に見えた。



武史の笑顔は

梓の心に強く印象づけられた。



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