「奈緒ちゃん?
亮なら休みだけど…」
武史は2年2組の教室の前に奈緒の姿を見つけて驚いた。
「あ、はい。
知ってます」
「じゃあなんで?」
奈緒が武史を見上げて戸惑いながら言った。
「梓の事で…
ちょっと相談があって…」
奈緒の言葉に
武史は首をひねった。
武史と奈緒は屋上に行った。
亮以外の人といる屋上に違和感を感じながら
奈緒が話を切り出す。
「あたし…
関先輩のこと信用してるから…
だから話します。
…いいですか?」
奈緒の言葉に少し黙った武史が
笑顔を返した。
「…なんて答えればいいんだか分からないけど
梓ちゃんや奈緒ちゃんを裏切るようなことはしないよ」
武史の答えに安心したように笑うと
奈緒が口を開いた。
「梓、中学3年の時、
彼氏にひどい振られ方されてるんです…」
武史の脳裏に
お好み焼き屋での会話がよみがえる。
…そういえば悲しそうな顔してたけど
「その人、梓の他にも何人も付き合ってる人がいて…
それを知って問い詰めた梓に
悪びれもしないで笑いながらひどい事言ったらしくて…」
あの時の梓の悲しい表情の理由が
奈緒によって武史に知らされる。
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