土曜日も日曜日も一日中
真也の言葉が頭の中を支配していた。
『あの時あたしが止めてれば…』
そんな後悔ばかりが胸を苦しませる。
真也が…
そんな男だったって事は知ってた。
そんな事でショックなんか受けないけど…
あんな男を
真剣に好きになった自分が恥ずかしい。
真也の甘い言葉に喜んで
胸が高鳴って眠れない日もあった。
大好きって…
本気で思ってたのに…
そんな自分が…
今では悔しい。
悔しくてたまらない。
あんな奴に奈緒まで傷つける権利なんか
あるはずない。
「梓~?
どうしたの?
暗いよ?」
月曜日、
机に座ったまま考え込んでいた梓を奈緒が覗き込んだ。
「奈緒…
ううん、何にもないよ」
「そう?
ならいいんだけど」
そう言って優しく笑う奈緒を見て
梓が話を切り出す。
「そんなことよりさ…
今週のバイトは?」
いつもは聞かないような質問に
奈緒はちょっと笑いながら答える。
「何急に(笑)
今週はないよ。
亮があんまバイトすんなってうるさいし」
「あぁ…
きっと桜木先輩
自分の知らないとこで他の男と一緒にいられるのが嫌なんだよ。
ねぇ、じゃあさ今週一緒に帰ろうよ」
真剣な顔で言う梓を不思議に思いながら
奈緒がうなづいた。
奈緒は…
絶対にあたしが守る。
いつもと違う様子の梓を
奈緒が心配そうに見つめていた。
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