「だからさっ!」


見つめていた武史が勢い良く振り向く。


「元気だしなよ!

そんな顔してるのは梓ちゃんらしくないよ」



目が合ったまま

きれいに笑う武史に胸が高鳴るのがわかった。



武史の言葉も笑顔も

素直にうれしかった。



「…関先輩の笑顔がキラキラしてる」


ぼーっと武史を見つめながら梓が言った。


「あ〜、オレって結構いい男だからね。

…亮の隣にいるから目立たないだけで(笑)」


「あ、すみません。

キラキラは夕日のせいでした(笑)

こう見るとフツー」



手を敬礼のようにおでこに当てて日除けの下から武史を見た。



いたずらに笑う梓のおでこを

武史が笑いながら指ではじいた。




自分の気持ちに気づかれるのが恐くてわざとからかった。



本当にキラキラしてたのは…


目の前で背伸びをする関先輩…



関先輩は


あたしの事どう思ってる?



毎日一緒に帰ることに


少しだけ期待してもいいですか…?



「腹へったぁ…

また行っちゃう?」


梓は武史に笑顔でうなづいた。



夕日のまぶしい中

武史と梓はお好み焼き屋に向かう。


長くのびる影が寄り添って少しうれしいような照れくさいような…



また武史が不格好なお好み焼きを焼くと思うと自然と笑みがこぼれた。




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