「どうしよっか…」
亮と奈緒に取り残された武史と梓は
ゲーセンの出口の辺りで顔を見合わせていた。
恥ずかしがってなかなか目を合わせない梓に
武史が少し申し訳なさそうに言う。
「…もしかして2人きりとかやだ?
…もう帰ろっか?」
頭をかきながら笑う武史に
梓は首をブンブンと横に振った。
「嫌じゃないですっ!
ただ緊張しちゃって…
すみません、あたしが紹介して欲しいなんて言ったのに…」
「オレも(笑)
内心、かなり緊張しててやばいんだけど(笑)
つぅか、首そんなに振ったら折れるよ(笑)」
笑いをこらえる武史の姿を見て
梓が初めて笑顔を見せた。
「よく奈緒にもリアクションが大きすぎって言われる(笑)」
「あ、オレも!
亮に(笑)
つぅか、亮の落ち着きは絶対高校生じゃないけどね。
…梓ちゃんは亮みたいなタイプの方が好き?」
武史の質問に梓は少し考えてから武史に笑顔を見せた。
「あたしはよく話す人の方が好きかな…
恋人より友達感覚の人の方が付き合いやすいし…」
梓の少し曇った笑顔を不思議に思いながらも
武史は明るく返事をした。
「だよね。
…どうしよっか。
オレ亮みたいに車がある訳でもないし
金もそんなにないから行けるとこ限られちゃうんだけど…
…ごめんね?」
少し申し訳なさそうに笑う武史に
梓が笑顔で答える。
「座って話せればどこでも。
お腹空いてます?
どっか入りません?
庶民的なとこに(笑)」
梓の言葉に武史は笑って駅とは反対の方向を指さした。
「あっちにおいしいお好み焼き屋があるんだ。
格安の。
梓ちゃんがよければそこ行かない?
…あ、でも制服に匂いついちゃうか」
「大丈夫(笑)
あたしそうゆうの気にしないから」
武史が「こっちだよ」と
歩き出した後ろを梓は武史に追いつかないように歩いた。
並んで歩くのが
少し恥ずかしくて…
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