「関先輩って…
奈緒の事好きなんですか?」
あまりの唐突な質問に
武史は驚いた顔で梓の顔を見た。
「…なんでそう思うの?」
「関先輩の奈緒を見る目が…
なんか切ないってゆうか…」
目をそらさずにまっすぐ梓を見つめている武史が
梓の言葉を聞いて微笑んだ。
「あぁ、それってちょっと前じゃない?」
自分でも気づいていたかのように話し出した武史に
今度は梓が少しびっくりした。
普通だったら、もし好きでも慌てて否定すると思っていたから
武史の反応は意外だった。
「オレってさぁ、自分で言うのもアレだけど
すっげぇ平和主義なんだよね」
少し笑いながら言う武史の横顔を見て
梓はうなづいた。
「…わかります」
「だから、前の奈緒ちゃんみたいに閉じこもってる子とかってほっとけなくてさ…
亮もそうだったんだけど、どうしても話しかけたくなっちゃって。
力になれるわけでもないんだけど、『一人っきり』みたいな顔してるとどうしても気になっちゃってさ」
武史はブランコから降りてブランコの周りを囲む手すりに寄りかかった。
「だけど…奈緒ちゃんって結構噂あったから…
事件のこともそうだけど、男嫌いとか色々。
だからどうにもできなくて…
でも見つける度気になってさ。
それで多分切ない目を(笑)
つぅか、見られてたとかってかなり恥ずかしいんだけど(笑)」
恥ずかしげに笑う武史を見て
梓は笑わなかった。
真剣に話す横顔が…
照れくさそうに笑う横顔が…
夕日に照らされてキラキラしているのを
ただ黙って見ていた。
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